第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
お湯を使っている主が戻ってくる前に、俺は着替えて主の部屋へ先に入る。
居ない隙に審神者の連絡先の一覧表を広げ、近侍が今剣の審神者と主が美しいと言っている審神者の二人の連絡先をメモした。
廊下を歩く主の足音が聞こえてきて、俺は急いでそのファイルを片付ける。
そして湯を使ってきた主が襖を開ける。
いつもの寝間着は浴衣で、俺は腰紐を解かず、衿と裾を広げて行為に及ぶのが好きなのだが、今日の主は洋装のいわゆるパジャマと呼ばれる物を着用していた。
がっちり首元が覆われたそれは、主の今日の恐怖を現しているようだった。
俺は敷いておいた布団へ先に入り、「おいで」と主に呼び掛けた。
おずおずと隣にきた主はゆっくりと横たわる。
俺が主の頭を撫でると、からだを固くしぴくりと震えた。
「大丈夫だ、俺は何もしない」
「うん…わかってる…ごめん…わがまま言って…」
「わがまま言ってくれていいよ?俺にだけ甘える雅って可愛い」
俺はそういって主のからだをそっと抱き締めると、やはりいつもと違ってからだを強張らせる。
「か…しゅう…くん…」
主も俺に静かに指先にちからを込めて抱き締めてくる。
「ごめん…怖い…忘れたい…でも…怖いよ…」
「雅…」