第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
俺の鋭い一言に、主は座り込んだまま返事をしない。
しかし、しばらくしてゆっくり話し出した。
「審神者の…健康診断っていうことで政府へ呼ばれたの…」
俺は無言で側に座り、俯いたままの主を見つめる。
「確かに健康診断はしたよ…身長や体重や血液検査とか…一通りは…」
「…他になにかあった?」
俺が問うと、主はぶるぶると震え出し、歯がかちかちと鳴り出した。
「検査着で…何も身に着けていないのも同然…だった…」
それを聞いた途端、まさかと俺の目の前が一瞬真っ暗になる。
「まさか…主…」
言いたくない事実を、主は震えながら俺に告げた。
「私だけ、じゃない…他の審神者さんたちも…あまりに手がつけられなくて…政府預かりの刀剣たちが…いきなり結界をやぶって検査会場へなだれこんできて…」
「もう、言わなくて良い…」
俺は震える主を抱き締めると、数瞬置いて、声を押し殺し泣く主が俺の胸の中にいた。
つまりは。
主は政府の健康診断へ行き、それは順調に終わった。
そこへ対応の悪い審神者などによって手がつけられなくなって、政府預かりとなった刀剣たちが、結界をどうしてか破ってその会場へ踏み込み、そこにいた審神者たちを襲ったという事だった。