第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
そこへようやく主が戻ってきた。
「ごめんなさい、遅くなって。やっぱり健康診断って待ち時間が長くて」
玄関で謝る主は見た目特に何か変化があるわけではなく、いつもと同じに見える。
「いくら通達があったと言っても、一人で政府へ行くなんて無謀じゃないか」
「無事だったから良かったけれど、どこで誰に狙われるかわからないのだから、一人で出掛けちゃ駄目だよ」
くちぐちにみなが言うので、主は困った表情で本当にごめんなさい、気を付けます、と何度も謝っていたので、俺が仲裁に入る。
「ほら、主もこれだけ謝ってるし、いつまでも玄関で立ちっぱなしも何だから、もう良いよね。主も今回は健康診断って事だったから仕方ないけれど、これからは何があっても一人で出掛けない事だよ」
「うん、本当にごめんなさい」
謝り続ける主に、仕方ないな、とみんな解散し、主も部屋へ足を向ける。
俺も主の後ろをついて歩くと、主が振り向いて言う。
「加州くん、疲れたから一人にしてもらって良いかな?」
「…俺が、話しがある」
瞬間、主が青ざめたように見えたのは錯覚でもなんでもなかった。
うなだれたように主は部屋へ入り、そのままそこへへたり込んだ。
俺は一緒に部屋へ入り、そっと襖を閉め、そして主が他の刀剣に隠していた事実を知る。
「主、何があった?」