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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第18章 ××しないと出られない部屋その2 〔薬研藤四郎/R15〕


俺はまだだ、と大将の口内へ差し込んだ舌で歯列をなぞり、大将の舌を絡めて強く吸う。

「ん…ん…っ」

大将が悶えるが知ったことか。

おとことおんなの睦事は、一応どんなものかは知っているし、刀の主たちがしているのを見てきている。

俺も大将にこのまましてしまおうかと、キスをしながら何度も抱き締めたからだの柔らかさに思う。



それでも、俺は、流されない。



俺は五分間、大将にキスし続け、小さくかちりとやがて戸が開けられるようになった音を聞く。

唇をゆっくり離すと、目の前の大将の様子が明らかに違った。

息が浅く、顔を赤くし、目が潤んで、いつもと違う、俺たち短刀には見せないおんなの顔。

ああ、こんな顔見せられたら、俺もおとことして喰ってしまいたいくらいだ。

「やげん…くん…」

小さく俺を呼ぶ大将の声も、いつもと違って甘えたような色を含んだ声音に聞こえる。

何度も何度も自問自答する。

大将とこのまま睦言に入ってしまおうか。



しかし結局は俺の矜持が許さず、大将にのしかかっていたのを止め立ち上がる。



俺は大将の顔を見る事なく引き戸へと歩み、からりと開きながら先にそこから出る。

「大将はその顔、元に戻してからゆっくり出て来ると良いぜ」
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