第18章 ××しないと出られない部屋その2 〔薬研藤四郎/R15〕
大将はまだ表情を変えず、こちらを見上げる。
俺はゆっくり腕を曲げ、ぽかんとした表情のままの大将の唇へ近付き、触れる。
ふにっとした感触がし、その、触れる口付けを何度も繰り返すとやがてどちらかわからないくちり、とした唾液の音がしてきて、俺は一度唇を離す。
「や…げん…くん…貴方…」
へぇ、大将、表情がだいぶ変わってきたな。
最初の驚いたような表情が、口付けのせいか、眼差しがとろりと甘くなったようだ。
この部屋から出る条件は口付けを五分間。
さて、ここから、もっと攻めて、大将を堕としてやるぜ。
「まだだ、大将。こんなんじゃ部屋から出られない」
「…うん…」
俺がまた横になる大将にのしかかると、大将の腕が俺の背に回る。
へぇ、その気になったって事か。
でもそこまで煽ってくれなくても良いのだが…俺は小さく笑うと顔を近付ける。
また触れるキスを続けていると、大将の唇が少し開いたのに気付き、俺は自分の舌で大将の唇をこじ開け、舌を口内へ差し込む。
「ん…ふっ…う…」
大将の口の端から漏れる言葉にならない言葉に、俺は大将の頭の横を撫でてやると大将の俺の背に回した腕のちからが込められたのがわかる。
どちらの唾液がわからないものが互いの口の端から流れる。