第15章 出陣の理由 〔山姥切国広/R18〕
今夜の月は半月から満月になりかかろうとしていて、夜でも少し明るく感じる。
夜が更けても、呑むのが好きな男士たちが酒盛りをしているのが広間から聞こえてくるが、俺はもともとそんなに酒が好きではないので、参加しなくても何も言われない。
静かに本丸の廊下を歩き、雅の私室で小さく「俺だ」と声を掛ける。
「…どうぞ」
やはり小さく雅の返事が有り、俺は誰も居ないのを左右に確かめ、するりと部屋へ滑り込んだ。
雅も既に着替え、寝間着になって、敷いている布団の隅にちょこんと座っていた。
「あの…あの…」
正座をした雅はもじもじと目をあちらこちらに移動させながら、何か言おうとする。
「何だ?」
俺が問うとしばらく無言でいたが、ようやく口を開いた。
「あの…実は…私…そのぅ…こ、こういうの、初めてで…」
そう言って下を向いてしまう。
意味を理解した俺は、むしろ雅の可愛さに小さく唇の端に笑みを浮かべる。
「…俺で良いのか…?」
反対に俺が聞くと、下を向いたままこくりと頷くのも劣情を煽られる。
俺は正座する雅に近寄り、目の前で膝を折って目線を同じくし雅を抱き締めると、緊張しているのか雅はぴくりとからだを固くする。
「…俺に任せろ」