第15章 出陣の理由 〔山姥切国広/R18〕
『もしかしたら怒らせてはいけない部類のやつか…』
本丸には何人か、怒らせてはいけない男士がいる。
普段穏やかな人物程、怒らせるとその後が大変な一振りで、我が本丸で今一番やっかいなのは歌仙兼定と言われている。
その歌仙と行動パターンが、朝尊は似ているのだ。
俺たちは、こいつは怒らせてはならないな、と気付き、思いながら次へと進む。
次々と階を降り、その都度罠を仕掛けて時間遡行軍を捕まえるが、なかなか答えが得られず、朝尊が笑みを浮かべてぐっさりやるのを見てきた。
やっぱりこいつは怒らせてはいけない、と俺たちは顔を見合わせる。
ある程度降りたところで捕まえたのが、その隊の隊長である槍だった。
さすが隊長、ようやく答えが得られた。
「隊名は、ジパング貴金属回収隊。我々はこの地下に眠る小判を回収するために来た。その際おまえたちが来ていたら、潰すよう命を受けている」
「…小判を回収するだけか?他に何か目的は無いのか?」
俺は問うが槍は首を左右に振るだけだ。
すると朝尊がぐさりと槍を刺し殺した。
「答えは得られたし、これ以上は情報も無さそうだしね」
「…確かにそうだな。やっぱり小判拾うだけなのか…」
これ以上の情報が得られず、俺たちは拾った小判を背負って本丸へ戻って行った。
しかし、朝尊がこんなに怖い男士とは思わなかった、と俺たちは内心繰り返す。