第12章 相容れぬ世界 〔斬鉄剣/R18〕
「新しい仲間が増えたと思いましたが…残念ですがもう斬鉄剣さんはここに来る事はないでしょう」
雅は広間を出る。
「部屋へ戻ります。第二部隊の皆さんが戻られましたら声を掛けてください」
「かしこまりました」
長谷部が答え、雅は振り向きもせず廊下を歩いて部屋へ戻って行った。
部屋に戻った雅はその場でへたり込む。
「他に方法は無かったのかな…」
斬鉄剣を刀剣男士として迎えていたかったものの、時空が歪み時間遡行軍が通常より数多く出撃しているのがわかり、時の政府から斬鉄剣を戻すよう厳命された時に、自分の意見は押し込めなくてはならなかった。
「…もっと自分にちからが欲しい」
霊力がもっと高ければ、最低でもこの本丸には居られるように出来たかもしれない、だからもっと修行しなくては、と雅は思う。
「失礼します」
そんな事を思っていると襖が開き、長谷部が姿を見せた。
「ずいぶん考え過ぎている表情をなさっていますね、主」
「…長谷部さんにはわかってしまっているようですね」
雅は長谷部の顔を見て肩を少しすくめると、隣に座ってきた長谷部にもたれかかる。
「ごめんなさい…しばらくこのままでいさせて」