第12章 相容れぬ世界 〔斬鉄剣/R18〕
雅は両手を第二部隊の六振りに向かって広げ、目に見えない霊力を送り込んだ。
「相手はいつもと違うとの情報も入ってきています、くれぐれもお気をつけて」
「いってきます」
それでもいつもと同じ表情で第二部隊の六振りは時の扉を開き、出陣して行った。
「…拙者があちこちの時代に現れている、とは…」
後ろを向くと座り込んだ斬鉄剣が、まゆをひそめてぶつぶつと言っている。
「時空が歪んだせいなんです」
雅は言い、斬鉄剣の前に座る。
「斬鉄剣さん、残念ですが貴方を石川五右衛門さんのところへ戻し、以後ここを含めた他のところへ行かれないようにしなくてはなりません。せっかくこれからも一緒に戦っていただきたかったのですが、貴方の存在がかえって敵を増やし、相手の攻撃力を上げてしまっているのです」
「了解した。拙者も迷惑になるような事はしたくない」
雅の言葉に斬鉄剣は頷いた。
「それでは戻っていただきます」
雅は印を結び九字を切る。
斬鉄剣の真上の空気がゆらりと動き、すると、そのゆらぎはどんどん大きくなり斬鉄剣を呑み込み、ゆらゆらとした空気が元に戻った時、斬鉄剣の姿は消えていた。
「消えた…」
誰かがぽつりと言い、雅は最後の呪文を唱えて印を切った。