第12章 相容れぬ世界 〔斬鉄剣/R18〕
すると斬鉄剣が先程と同じように正座した体勢で戻って来た。
「…戻ってこれた…」
斬鉄剣はゆっくり目を開けて、周囲を見回すと安心したように言った。
「…よく戻れたな…」
誰かが感心したように言うと、斬鉄剣は言う。
「出来ていれば本当はもっと早く戻れたでござる。しかしこちらへ意識を送ろうとしても、何かに弾かれてすぐに戻れなかったでござる。弾く何かが消えた瞬間、こちらへ意識を引っ張ったでござる」
「何かに弾かれた…?」
誰かが疑問形で言ったところで、雅が口を開く。
「それ私の結界。斬鉄剣さんには悪いけれど、貴方をここへ戻さないようにしました」
「な…何故…」
「貴方はこの世界の刀では無いのが理由です」
「しかし主、一緒に戦おうと言ったではないか」
男士に言われるが、雅は立ち上がって広間を見回した。
「そう思ってました。けれど、時の政府から連絡がきたんです。あちこちの時代に斬鉄剣さんが何故か現れて、時空の歪みが大幅に起きて時間遡行軍が大挙している、と。それで、ここにも出撃の命が出ました。本日の第二部隊の皆さん、出陣をお願いします」
急きょ命じられた出陣に、第二部隊の者は急いで準備をする。
「皆さんに勝利の加護がありますように」