第12章 相容れぬ世界 〔斬鉄剣/R18〕
「へぇ、珍しいね。ここにどうやって来たのかもわからないんだ」
反対に斬鉄剣も聞く。
「皆はここに来た記憶は有るのでござるか?」
それを聞いていた男士たちは「あぁ」と頷く。
「拙者のような事象は珍しいようでござるな…」
自分と同じ状況の男士が居ないとわかり、斬鉄剣はがっかりしたような表情を見せた。
「意識を戻すのは難しい事では無い、早速やってみるか」
内番の無い数人の暇な男士が、斬鉄剣を囲んだ。
「まず、刀を思い起こす。そしてその刀へ自分の意識を引っ張っていく。それだけだ」
長谷部がさらりと言うと、他の男士が続けて言う。
「こっちに戻ってくる時は反対。この本丸へ意識を思い起こし、こっちにその意識を引っ張ってくるんだ」
「…やってみるでござる」
斬鉄剣は目をつむると、刀を思い起こし刀本体へ意識を飛ばした。
すると。
「あ、消えた」
「刀のところへ無事に意識を飛ばせたな」
ふっと斬鉄剣の姿が消え、刀へ意識を飛ばせたようだった。
「さて、戻ってこられるかどうか」