第12章 相容れぬ世界 〔斬鉄剣/R18〕
「…そろそろ戻ります…次はもっと時間を掛ける事にしましょう…」
「も…真顔でそういう事、言っちゃいや…」
恥ずかしくなった雅は、ふいと横を向くものの、長谷部は目の前に見える頬や目尻にキスをするので、いつまでも横を向いていられず、正面を向き雅からキスをする。
「雅…」
驚く長谷部に下から見上げる雅は、顔を赤くして慌てたように言う。
「またね…っ」
長谷部は一瞬呆気に取られた顔をしたものの、ふ、と笑みを浮かべ、もう一度優しく雅にキスをすると雅から離れた。
朝食後、斬鉄剣は長谷部に話し掛ける。
「長谷部殿、例の事をご教示いただきとうござる」
「ああ、そうだったな」
近くに座っていた鶯丸が「何の事?」と聞く。
「刀へ意識を向ける方法でござる。拙者、自分の刀への戻り方がわからぬでござる」
「あれね。そんな難しくないよ」
「さようでござるか」
「反対にどうやってこっちに来たか、覚えてる?」
「実はそれもわからぬでござる。気付いたらここで、主殿にこの姿にされていたでござる」
頭を左右に小さく振る斬鉄剣を鶯丸は不思議そうに見た。