第2章 愛が香る 〔歌仙兼定/R18〕
首を傾げながら歴史の教科書を思い出しているのか、考えながら答える主。
「そう、そのおたからのひとつが蘭奢待と呼ばれる伽羅の香木で、戦国時代の織田信長も当時の天皇から贈られた逸話のある逸品なんだよ」
「へぇ…歌仙は聞いた事あるの?」
「残念ながら無いんだ。でもこの伽羅も清しく甘い、良い香りだ」
香を聞くのが終わり、ぼくと主で片付ける。
「香道かぁ…あんまり聞かないよね。お茶とかお花とかは聞くけれど…」
片付けながらぽつりと主が言う。
「まぁそうだね。主はお茶やお花の心得は有るのかい?」
ぼくの質問に首を左右に振る主。
「ううん、そういうの全然興味無かったんだよね…歌仙、知ってるの?知ってるなら教えて欲しいな」
「主、やってみたい?」
「うん、お願いします」
ぼくが聞くとぱあっと表情を明るくする主。
「教えても良いけど…」
ぼくは畳をいざり、主の顔を覗き込む。
「ぼくへご褒美をもらえる?」
「ご褒美…?」