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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第12章 相容れぬ世界 〔斬鉄剣/R18〕


「んな…長谷部さん…顔、戻せって…」

「その表情は俺にしか見せてはなりません。そんな顔して戻ったら、他の酔っ払いの餌食になります」

「えええええ?」

雅は驚き、急いで両手で頬を挟むとぐいぐい頬を上にあげたり下にさげたりする。

「…もしかして斬鉄剣さんにやきもちやいた…?」

そんな動作をしながら雅は長谷部に問うと、長谷部は一瞬言葉を失ったように詰まり後ろを向き、その後ろ姿から少し見える顔が赤く色付いていた。

雅はわかりやすい、と思いながら、自分から長谷部の後ろ姿に抱き着く。

「長谷部さん、私が好きなのは貴方なんだから、やきもちやく必要ないよ」

「雅…」

抱き着かれた長谷部は後ろから回った雅の手を自分の手で包む。

「…では戻りましょう」

二人は指を絡めてつなぎながら広間へ戻る。

広間へ戻ると、歌仙より遅く戻ってきたので、「何してたの?」と一部に聞かれたものの、二人は斬鉄剣の様子をしばらく見ていた、と答え、先程の席に座った。



案の定、いつも通りの酔っ払いが出来、雅にちょっかいを出し始める。

「あーるじーぃ」

「また和泉守か、抱き着くな」

長谷部が抱き着こうとする和泉守を、雅の側に来させないようにする。
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