第12章 相容れぬ世界 〔斬鉄剣/R18〕
渋々長谷部は引きさがり、びったり抱き着いて離れない斬鉄剣に、雅は背中をとんとんと軽く叩いていた。
すると、ずるずると斬鉄剣のからだが沈み、頭が雅の膝に乗り斬鉄剣は寝てしまった。
「ありゃ、もう寝ちゃった」
雅が言った途端、長谷部は飛んできた。
「主、では部屋へ運びます」
「…来るの早いね…大丈夫?手伝おうか」
二人で左右から寝てしまった斬鉄剣を抱えようとするが、雅のほうが小さくふらつき、それを見ていた歌仙が代わりに抱えてくれる。
「歌仙さん、ありがとうございます」
「ずいぶん呑んだみたいだね、こんなになってしまって。とにかく早く寝かせてあげよう」
歌仙と長谷部が左右から抱え、ずるずると真ん中で引きずられる斬鉄剣を、後ろから雅は追い掛ける。
「主は広間に居て良いですよ」
長谷部が声を掛けるが、雅は布団を敷くぐらいは出来るよ、とついていく。
部屋へ着き、中へ入った雅が急いで布団を敷き、長谷部と歌仙が斬鉄剣を横にする。
「袴だけは脱がせたほうが良いよね」
雅が袴の結び目をほどくと、長谷部が慌てて声を掛ける。
「それは俺がやります。主は脱がせた着物を畳んでください」