第12章 相容れぬ世界 〔斬鉄剣/R18〕
「ふぅ、これで短刀たちに料理をよそったかな…って斬鉄剣さん、何か顔が赤いよ?」
横をふと見ると、酔っぱらった斬鉄剣が赤い顔をしてぼんやりとしていた。
「やだ…もしかして酔っぱらってる?どのくらい飲んだの?」
驚いて雅が聞くが、おちょこを空けると次々に注いだので具体的な量はわからない。
酔っぱらった斬鉄剣は、自分が酔っぱらったとわかっていないので、そのまま隣にいる雅に抱き着く。
「あるじどのぅ…やわらかくて…あったかいでござるなぁ…」
「わぁ…はいはい」
よしよし、と雅は斬鉄剣の頭を撫でるが、その様子に長谷部が顔を青くする。
「主、彼は酔っぱらってます。俺が部屋へ連れて行って寝かせます」
二人のところへ来て斬鉄剣を連れて行こうとするが、斬鉄剣は離れない。
「いやでござるぅ…はなれないでござるぅ…」
「主から離れろ」
長谷部は必死に引きはがそうとするが、雅はしようがないと長谷部に言う。
「長谷部さん、いいよ、しばらくこのままで。この様子だとそのうち寝ちゃって離れるだろうから」
「しかし、それでは主が迷惑では…」
「私は大丈夫だから。心配してくれてありがとう。寝ちゃったら連れて行ってあげて」
「…わかりました」