第12章 相容れぬ世界 〔斬鉄剣/R18〕
「子孫?だって泥棒の石川五右衛門はかまゆでされて死んだんだろう?それなのにどうやって子孫がいるんだ?」
自分たちの知る歴史と斬鉄剣の話しが噛みあわず、誰もが首を傾げる。
「そういえば主が変な事言っていたよね」
「架空の話しがどうとかってやつか」
「つまり実存しない刀という事か?」
「それなら何故ここに顕現しているんだ?」
ますますこんがらがって、刀剣たちも皆で首をひねる事となった。
「考えても埒はあかない。とりあえずここは、新しい刀剣男士がきたという事で祝いの会でも催すか」
「おっ、賛成。酒、用意してこなくちゃな」
「料理は燭台切と歌仙に頼もう」
「よし、こうなったら宴だ、宴だ」
「あ、おい、そういう事は主に許可を取ってから…」
長谷部が慌てて言うが、皆わぁっと、宴の準備に散り散りになってしまった。
「あ、おい…ったく、主の許可も得ないで…仕方ない、主のところへ行くぞ」
と、長谷部は斬鉄剣を連れて、雅の部屋へ足を向けた。
「ふふふ、良いですよ、そういう事なら」
話しを聞いて雅は、長谷部と斬鉄剣にお茶を出しながらくすくす笑う。