第12章 相容れぬ世界 〔斬鉄剣/R18〕
「長谷部さんも、わざわざ伝えに来てくださってありがとうございます」
長谷部へにっこりして礼を言う雅に、長谷部は「主のためですから」とかしこまる。
「斬鉄剣さんはこの本丸の中は覚えられそうですか?」
「…覚えたでござる」
「それなら良かったです。長谷部さん、そういえば斬鉄剣さんには、どちらのお部屋を使ってもらいましょうか?」
「そうですね…どの刀派にも該当しないようですし…あぁ、陸奥のところはどうでしょう」
「陸奥さんですね、長谷部さんがそうおっしゃるならそうしましょう。陸奥さんへは私からお願いしておきますね」
「それではお願いします」
「じゃ、私も台所を手伝いに行こうかな。斬鉄剣さんのいらしたお祝いだもんね」
雅が立ち上がり、合わせて長谷部と斬鉄剣も部屋を出る。
「主の作る料理が久し振りに食べられるのですね」
長谷部は感激して言い、雅は苦笑する。
「久し振りって二日前の朝食を手伝ったばかりだよ?」
「二日前なら久し振りですよ」
長谷部が少し口をとがらせるので、雅はますます笑う。
「もう、それじゃあ長谷部さんには、毎日私が作らないと駄目ですね」
「それならそれで、俺は嬉しいです」