第12章 相容れぬ世界　〔斬鉄剣／R18〕

「えーと、たぶん皆さんが知らないのも無理ないです…」

みんなで主を見て、長谷部が問う。

「主、それはどういう事ですか？」

「え…うん…そうだよね…だって…でも…たぶん…あの刀、かな…」

一人でぶつぶつ言う主だったが、しばらくして顔を広間へ向けて言う。

「あの、もしかしたらこの斬鉄剣さんは、『あの』刀だと思います」

「あの刀？」

「あの、えーと、架空の話しに出て来る侍の持つ刀が斬鉄剣って言うんです。もしかしたらその架空の話しの刀が何故かここに表れ、顕現されたのかなって思ったんだけど…」

「…架空の話しの刀？」

誰かが聞いた事に主は複雑な表情をする。

「そう…なんだよね…斬鉄剣って、この世には本来無い刀、だから…ねぇ」

斬鉄剣と名乗った男士は、まゆを寄せて低い声で言う。

「拙者は何故こうしてここに居るのかわからぬ。主殿…もわからなければ、拙者はどうすれば良いのでござるか」

「うわ、話し方まで持ち主と一緒だぁ」

主は驚きながらぼそりとつぶやき、そして言う。

「いえ、えーと、顕現してここにいるのだから、貴方も立派な刀剣男士。ここでみんなからいろんな事を学んで生活して、時間遡行軍と戦ってください」

「…よくわからぬが承知したでござる。皆の衆、よろしく頼むでござる」