第1章 胸騒ぎ
隆二の顔が明らかに不機嫌だった。
理由はきっと、ゆいさんの彼氏の事だろう。
今回の宿に到着して、受付を済ますとそれぞれの部屋へ向かった。
私たちは一番端の部屋になった。
ゆいさん達は真向かいのお部屋。
「ゆい。荷物。彼氏は?」
「隆、ありがと。タバコ買いに行ったみたい。」
「お前、平気か?」
「え。。?」
「いや、別になんでもない。じゃ、。」
部屋の中は、畳のいい香りがしてとても落ち着く雰囲気だった。
キャリーケースから、洋服を出してハンガーにかけていく。
「隆二のもかけていい?シワになっちゃうから。」
「おう。お前って、ほんと嫁さんって感じ。」
私をジーって見るといきなりそんなことを言い出した。
「なにそれ(笑)みんな、こんな感じでしょ。」
「あいつは、そんな感じじゃなかったなー。今の忙しさであいつと付き合うのは無理だわ。家の事全くだめだったし。そう思うと、別れてお前と巡り逢ったのも運命なんだなー。俺にとっては。ほんと、全面的にお前に支えてもらってるもん。。
名無しにとって俺って支えになってる?」ゴロンと畳に寝転びながらこんな問いかけをしてきた。
「うん。すごく、支えてもらってる。今まで味わったことないくらいに、毎日幸せだよ。」
「よかった。。」うとうとし始めた隆二の瞼が閉じた。
「ご飯になったら起こすから寝てな。」
「うん。。」