第3章 めんどうな女
「あんた、ゆいの事まだ引きずってんのかよ。」
「はあ?何言ってんだよ。たっく、名無しといいめんどくさい事言うなよな。」
「めんどくさいとか言うんじゃねーよ。あの人、みんなの前では嫌な顔ひとつしねーで気を使ってんの気づいてねーの?本当に楽しくしてると思ってんのかよ。鈍感すぎんだろ。」
「はあ?てめ、何さっきから言ってやがんだよ。」
「そんなんだから、、ゆいにも浮気されたんだよ。」
「てめえ。」隆二が祥汰くんの首元をつかんだ所で突然誰かが叫んだ。
「おーーーーし!これから肝試しいこうぜ!この辺にスポットがあるんだってさ!」
「いいねー!涼みにいこうぜ!」
ぞろぞろと席を立つ一同。
「祥汰、行こう?」ゆいさんが心配そうに祥汰くんの腕をつかんでみんなのあとについて行った。
取り残された私と隆二。
「…。隆二、大丈夫なの。お水のむ?」
「ちょっと、一人になりてー。俺、パスすんわ。お前行って来れば。」冷たく言い放つ。隆二に冷たくされると泣きたくなる。
「…。それって行って来いって事?」
「…そう。行ってきて。俺の代わりに。」めんどくさそうに言う隆二。
「わかった。行ってきます。」みんなの楽しい空気を壊したくないから私はみんなの後を追った。
きっと、私も早く隆二の大切な人たちと仲良くなりたかったんだと思う。
走ったが、暗くてみんなを見失ってしまった。
「はー。私なにやってるんだろう。」涙がいつの間にか溢れていた。近くに小さな川が流れていた。橋の上からじーっと眺める。
「…。そこでなにやってんの。」急に声をかけられてびっくりした。
「きゃッ!なんだ、、、、祥汰くんか。そっちこそなにやってるの?」
「あんた、探しに来たんだろ。なかなか来ねーから。後ろの方で、あいつともめてるの見えたし。」
「ゆいさんはいいの?」
「あいつは、大丈夫。みんな居るし。よっぽど俺の事よりも信頼してるだろ。」
「そっか。ごめんね。探してくれてありがとう。実は、迷ってたの。笑」
「どんくせー女。」頭をポンポンとたたいてきた。