第3章 めんどうな女
「あんたって、めんどくせーよな。」
「う…。その言葉いまは傷つくんですけど。」
「あはは、んだよその顔。子犬みてー。笑」
「私って、そんなにめんどくさい女なのかなぁ。。。」
「めんどくせーけど、ほっとけない女って感じかなあ。」
「えー?何それ。」
あれやこれやと、話していたら道の向こうの方から声が聞こえてきた。
「名無し!はあはあ。お前こんなところでなにやってんだよ。仲間のとこ行ったらいねーし。」
「関係ないでしょ。隆二こそ、部屋に居たんじゃないの
?」
ああ、かわいくない私。せっかく探しに来てくれたのに。
内心うれしいくせに出てくる言葉は裏腹だ。
「お前、本当にめんどくせぇぞ。」
「どうせ、私はめんどうな女だもん。彼女みたくかわいらしくって素直じゃないし!」
どんどん泥沼化していく。
「とりあえず。こんな外で喧嘩すんなら部屋に戻ってやれよ。」
祥汰くんに促されて私達は旅館へもどった。
部屋に入ると、布団が敷いてあった。
隆二は、お風呂を入りにいっていたので、ムカムカしていた私。ぴったりくっついた布団を大げさに離して敷き直した。
『早く帰りたい。明日の夕方までずっとこのままなのかな。』楽しみにしていた隆二との旅行。ラブラブに過ごすはずがこんな事になってしまった。
些細な喧嘩からこんなこじれるなんて。
「うっ…ひっく。」
涙をこらえる。隆二が戻ってきちゃう。布団を頭からすっぽりかぶって涙をこらえた。
「はー。いいお湯だった。……。」戻ってきた隆二はきっと離れた布団を見てまた不機嫌になったんだと思う。
「あー。もう。ちょっと、布団から出てこい。」
「…。やだ。」
「あっそ。それなら、お望み通りあいつとより戻すわ。そうしてほしいんだろ。だから、お前はテツヤさんの所へ行けよ。それとも、あの祥汰ってやつとくっつけば?まんざらでもなさそうじゃん。」