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とある組織の黒い魔女 【名探偵コナン】

第14章 魔女と空白



彼女が組織の人間?
嘘だ!こんな人が組織の人間だなんてありえない!!


「ごめんなさい、ちょっと頭が混乱してしまっ!?」
言い終わる前に彼女が私を抱きしめてくれた
温かい
心も体も全て包まれているみたいで
体の緊張がほぐれる
あぁ、こんな人が組織に居たなんて知らなかった
もっと早く出会えてたら未来は変わっていたのかもしれない…

『大丈夫だ。私がついている。明美、お前は死なせないさ』

 
懐かしい温かさ
両親から抱きしめられているような錯覚を覚えた

 
「本当は…不安で不安でたまらないの…でも、やらなきゃいけない」


彼女の胸に顔を埋めたまま
ぽつりぽつりと言葉が出てきた


『そうだな』

それを優しく受け入れてくれる彼女
さっきまでの孤独な不安がゆっくりと溶かされていく


「私がっ…頑張らないと」

自然と涙が溢れだす
自分がこんなにも不安に思っていたのかと思うと
少し情けない…


『そうだな、頭の良いお前なら大丈夫だ』


「ありがとぅ…ございます」


私の言葉を聞き、彼女は納得したかのように
すっと体が離す
なんだか、少し淋しい気持ちになった

『あまり気を昂り過ぎるなよ。冷静に見極めろ』

「はい…」

『お前は自分の正義を貫くと良い』


彼女は私の頭を撫でながらそう言ってくれた
嬉しくて
また、涙が溢れそうになる
彼女の温もりが恋しい
いつの間にか
私は彼女の虜になっていた

そんな彼女が
今にも立ち去ろうとしている
私は慌てて呼び止めた

「あの…もし、私が死んだら、私の大切な人をよろしくお願いします」

確率的に低くはない事実

『あぁ、約束しよう』

それだけ言い残し
彼女は去っていった






去り際に交わした短い約束









この時…すでに彼女は全て知っていたのだろう
彼女の優しさに
救われた
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