第15章 魔女と散歩
明美が死んで少し経ったが
やはり
本人の意思を尊重せずに生かした方が正解だったかもしれないと考えてしまう
あいつは恐らく私が知る誰かの大切な人物であり
私なんかよりこの時代に必要な人間だ
あぁ…こんな事を考えるなんて
らしくない
『はぁ…』
昼間なのにカーテンの締め切られた部屋のベッドで
天井を見つめながらため息を吐く
これまで生きてきた中で
この時代の人間たちほど親密になったことはない
特に
零や赤井、ジンに対しては情が湧いてしまっているのだろう
彼らに何かあると考えると穏やかではいられない
困ったものだ
『はぁ…』
本日二度目のため息だ
『外に出るか…』
このまま
この部屋にいても一人自問自答を繰り返すだけだ
長く生きていると
自分の思考パターンなんて分かりきっている
私は珍しく日光が照らす外部へと
散歩に出掛けることにした
もちろん
日傘は欠かさない
動きやすい黒のスニーカーに
黒の上下を合わせた
組織の色は黒だ
自然と選ぶ色は黒になる
職業病というやつか?
自嘲の笑みが溢れた