第14章 魔女と空白
『なんとなくだ。まぁ、迷いや不安があったとしても…それは実行しなければ後悔するだろうな』
まるで私の全てを知っているかのような
そんな口調
でも
不思議と怖くはなかった
むしろ
その言葉からは温かな優しさが感じられる
「あなたは一体…何者なんですか?」
すごく失礼な言葉だとは思ったけれど
聞かずにはいられなかった
一般人…ではなさそう
警察らしくもないし
新手の詐欺師?でもない…
逆に聞かない方が良かったのかも…
いろんな考えが頭の中を駆け巡る
そんな中、金色の彼女は微笑みながら答えてくれた
『綾波咲哉、魔女だ』
ふざけているようだけれども一番納得できる答え
彼女につられて私も口元が緩んでしまう
「ふふ、魔女様なら何でもお見通しね」
『そうだな、だいたいは視えたよ』
「じゃぁ。私の一世一代の大作戦は成功するかな?」
思いっきって冗談めかしたように
例の作戦の質問をしてみる
こんなこと、質問してしまうなんて
私も馬鹿だなぁ…
『うーん、そうだなぁ、助言としては〝最後まで気を抜くな〟お前もだいたいは見当がついていると思うがな』
馬鹿な質問をしても
真剣に答えてくれる彼女
「最後まで気を抜くな…」
『そうだな、そうしないと誰かが死ぬ事になるかもしれん』
「え??誰が?」
『ある大きな事を成し遂げようとするば、何かの犠牲が必ず出てくる。それは成功しても失敗しても同じ事だ』
不安な表情でいっぱいになる私の顔を
寒空の中、少し冷たくてなった手で包み
彼女は鼻と鼻が擦れるくらいまで顔を近づけてきた
ドキッと胸が鳴る
『お前の知り合いを私は知っている。万が一お前が死んだらそいつが悲しむ。私はそいつが悲しむ顔を見たくない。だから私ができる範囲でお前を援護してやる』
私だけに聞こえるような小さな声だった
まさか…組織の人間…?
『お前が思っている事は当たっている』
「え?嘘…」
まるで心を全て読まれているような言葉の数々
驚きを隠せない