第14章 魔女と空白
痛く
苦しく
悲しく
切ない
愛の伝え方
『んんっ』
乱暴に入ってくる舌に翻弄される
まさに、息もできない熱い口付け
手首を拘束されているため、どんなに息苦しくても抵抗が出来ない
『んっ…ぁはぁっ…んんっ』
このままでは気を失いそうだ…
激しい口付けの中、必死にそれに応じながらも
隙を見つけ唇を離すことができた
やっと、酸素が取り込めると思っていると
ジンは私の体を抱き寄せ、髪を下に引っ張っぱり顔を上へ向かせた。
その目は
狂犬か…
いや、餌を目の前にした狼か
『ハァ、ハァ…やたら、熱い愛情表現だな』
「物分かりの悪い奴には無理矢理にでも分からせるまでだ」
『ふん、それならば…私にも分かるようにご教授賜ろう』
互いの目が合う
それが始まりの合図だった…
私の首元にジンの歯が立つ
加減というものを知らないのか
肉を食いちぎるような勢いだ
痛みに顔が歪む
手首を拘束されているため
抵抗はできない
『んっ…ぁっ…』
乱暴に身体が支配されていく
身体の中から
彼の熱を感じ
その動きに合わせて脳内が犯される
全てが満たされるような感覚
ふと耳元にジンの唇が寄った
無意識に神経が耳へと集中し
彼の言葉を待つ
「アイリッシュ…愛してる」
耳にかかる熱い吐息に反応したのか
その甘い言葉に反応したのか
一気に身体が熱を持ち愛撫への感度が上がる
『ジン…っ、お前っ…』
本気か?と言いかけた
しかし
すぐに愚問だと気付いた
私を抱く彼は一匹の獣から
一人の男へ変わっていたからだ
餌を喰らう獣から
愛する女を抱く男へと…
相変わらず
愛情表現が下手な男だ
だが
これ程までに苦しく切ない愛を感じるのは
初めてかもしれない
そんな愛に
この瞬間だけ溺れてみようか