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とある組織の黒い魔女 【名探偵コナン】

第11章 魔女と太陽



人間の体というものはなぜこんなにも繊細なのか…

それにしても先程の2人
工藤新一と毛利蘭
良くも悪くもお節介だったな
倒れる事はあっても
この私が熱中症なんかで死ぬわけがないのに

2人と別れ、ゆっくりと歩き出す。

喫茶店で休むとは言ったものの
既に近くの公園の日陰でくつろいでいたら
体力は回復した。
筋肉の痙攣もない。

「あ!!こんなところに…はぁはぁ…探したんですよ!!」

この声は毛利蘭
かなり慌てたようで息を切らしている

『探したとは私のことか?』

「そうですよ!!喫茶店覗いてもいないから…』

『すまない、良い日陰を見つけたものだからこちらの方が良いと思ってな』

「これ…どうぞ…」

ニコリと無垢な笑顔で差し出されたモノを見る
スポーツドリンクだ。

『私にか?』

「そうです!!」

なんとも純粋な善意であろうか
こんな人間がまだ存在したとは

『ありがとう。この恩は忘れない』

「そんな、恩だなんて!!私が勝手にしたことですから!!」

照れたように視線を逸らし
私の手にスポーツドリンクを握らせる毛利蘭。

『そういえば、先程の恋人は?一緒じゃないのか?』

「こ、恋人じゃないです!!新一なら別の場所を探すって…」

『恋人にしか見えなかったがな』

「新一とは幼馴染で…恋人じゃなくて友達というか…」

顔を真っ赤にしながら慌てて否定するが
彼女の想いは手に取るように分かった。


『そうかそうか…それにしても悪い事をしたな…2人の大切な時間を奪ってしまった』

今、生きている人間
誰しも寿命という時間の制限がある
愛し合う者が共に過ごす時間を奪ってしまった罪悪感が僅かに残る


『私の名は綾波咲哉。縁があればまた出会うだろう。その時は必ずこの恩を返すよ』

「綾波咲哉さん…ですね!!私は毛利蘭です!!私はまた会えると信じています!!」

大きく手を振りながら去っていく蘭

天使のような笑顔
毛利蘭
彼女はエンジェルだ。

そして

洞察力の優れた彼
工藤新一
彼はホームズといったところか…

『組織以外にこんなにも面白い人間がいるとはな…』

蘭が去って行った方向を眺めながら
もらったスポーツドリンクを口に含む
水、コーヒー、紅茶、アルコール以外の飲み物を初めて口にした。

『甘いな…』


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