第10章 魔女と炎
すでに無線機は使用できない状態にして観葉植物の鉢に投げ捨ててある。
まぁ、これくらい見つかったところで
誰のものが分からない。
さっきの会話で察してくれるだろう
頭のキレが良い2人だ。
上手く逃げろよ。
もぅ、2人は必要ない。
ここから
私とコイツの時間だ。
『さて、私に何の用だ?ロシア人』
「そんなこと、勘の良い貴女なら分かりきっているはずじゃありませんか?」
虫唾が走る言い方だ。
自分たちが優勢であると確信しているのか…
『質問を質問で返すな。白々しい』
だんだん、腹が立ってきた。
こんな男が大嫌いだ。
自分の立場を良い事にどこまでも有頂天になっている。
「では…単刀直入に…」
1人、また1人と部下であろう人間が集まってきた。
「貴女が不老不死の魔女だという噂を耳にしましてね。それを証明して頂きたいんです」
気持ち悪い笑みを浮かべ男は私の肩に手を置いた。
『それならば貴様に拝ませてやろう。だが、ここでは人目につく。場所を変えようか』
「構いませんよ。貴女が望むなら」
仮面を外され素顔が晒される。
美しいですね。と言われても胸糞が悪いだけだ。
事故に見せかけずに殺せたら 今すぐにでも首の骨を折ってやりたい。
ドレスを脱がされ
体を隅から隅まで調べられた後
裸のまま、男の待つ部屋へと通された。
先程から…これ以上なく腹が立っている。
周りの男たちを睨みつけながら部屋に入った。
「待っていましたよ」
ここ100年で1番殺 してしまいたい男が奥の椅子に太々しく座っている。
窓がない部屋の至るところには蝋燭の火が燈り
その空間が温かな光に包まれていた。
『さて、どうやって証明しようか?』
「そうですねぇ…とりあえず貴女を撃ち殺します」
男が言葉を言い終わる前に銃弾が頭を貫く。
グラリと体が背後に傾き倒れた。
痛みはない
ただ
一瞬、意識を失う。