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とある組織の黒い魔女 【名探偵コナン】

第8章   魔女と少年




夢を見た。


懐かしい。


子どもの頃の


これは初恋。





このひとがいなければ
今の僕、降谷零はいない。




「変な髪ぃーーーっ!!」

髪を引っ張られ
いじめられて泣いているのは俺だ。

「お前なんでそんなに黒いんだよぉ!!」

僕を指差し続く心無い言葉
子どもは大人より残酷だ。

「気持ち悪りぃーから触るなよー」

殴られる
蹴られる


また、拳が落ちてくるそう思って体を丸くした。
しかし、待っても待っても落ちてこない。

変わりに他の誰かに当たった音がした。


恐る恐る顔を上げると
大人の女の人が
僕を殴ろうとした拳を掴んでいる。


空に浮かぶ雲のような真っ白い肌に
夜の空のような真っ黒の髪
その空に光る月のような瞳
絵本に出てくるような綺麗な女の人


『さっきからお前ら目障りだ。この少年のどこがいけない?』

女の人は僕を守るように立って
いじめていたヤツらに向かって言葉を放つ。

『お前ら、よく見ろ。私の肌は死人のように白いぞ?私の目はお前らと同じか?違うだろ?何色だ?答えろ』

目を丸くし息を呑み
後ずさりをしていくヤツら

『この少年に言ったように私にも言ってみろクソガキ共』

大声で叫ぶわけでもなく
怒鳴るわけでもなく
静かに低く冷静に放たれた言葉の1つ1つに凄みがあった。


僕をいじめていたヤツらは一目散に逃げて行く
中には泣きながら逃げてるいるヤツもいる。

『大丈夫か?』

完全にヤツらの姿が見えなくなって
女の人はボロボロの僕に手を差し伸べ
声をかけてくれた。


「だ…大丈夫…」

恥ずかしくて顔を上げられない。
ボロボロの自分を見られるからではなく
この真っ赤染まった顔を隠したかったから


『お前、綺麗な髪だな。知ってるか?金髪は神の好意の象徴なんだ。肌の色も健康的で、私に無いものをお前は全て持っている。本当に羨ましい限りだ』

泥まみれになった僕の服を叩きながら女の人は楽しそうに言った。
心がすっと軽くなった気がした。


女の人と目が合う
微笑みながら俺の顔を覗き込んでくる
ドキンと胸が大きく弾んだ。
顔が熱い。


『もう、お前を虐めるヤツはいないだろう。大丈夫だ。お前は私が守ってやるよ』


指きりをした。
彼女の大きな大人の手と僕の小さな子どもの手で。



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