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とある組織の黒い魔女 【名探偵コナン】

第8章   魔女と少年



場面が変わる。

また、同じ場所で彼女に出会った。
彼女は僕の姿を見つけ手を振っている
「あっ…お、お姉ちゃん…」

近づいてくる彼女
胸がドキドキする。

『久しぶりだな、少年』
「あの…この前はありがとう…」
『別に礼を言われるような事はしていないぞ?』

あの後から、何故かあいつらからの嫌がらせはなくなった。
もぅ、この髪や肌の色に何これ言うヤツはいない。
そのきっかけを作ってくれたのはこの人だ。

「僕も…お姉ちゃんみたいに強くなりたい」
『私みたいにか?』
「そぅっ!」
『お前なら強くなれるさ。ただ、その強さの使い方を間違えるなよ』
「うん!わかった!」
彼女はニカッと笑い僕の頭を撫でてくれた。

『お前名前は?』
「降谷零!お姉ちゃんの名前は?」
『私の名か?』

困ったような表情だ。
何か悪い事でもしてしまったのかと不安になる。

『私の名前はないんだ…零、何か良い名を付けてくれるか?』

名前がない人に会うのは初めてだった。
もちろん、名前を付けて欲しいと言われるのも初めて。

『すまない、変な事を…「お姉ちゃんの名前…僕が付けていいの?」
自分を助けてくれた人が困っている。
何か恩返しができればと必死に考えた。
ジッと彼女を見つめ、頭の中に一つの名前が浮かんだ。

「咲哉…なんてどうかな?お姉ちゃんにピッタリだと思う!!」
『咲哉か…良い名だな。零に頼んで正解だった。今からその名を使わせてもらうよ』


目覚ましの音で目が覚める。
あぁ、懐かしい夢をみた。
ベッドの上で蘇った思い出を振り返る。

その日から僕と咲哉は2人でたくさん遊んだ。
彼女はなんでもできて、
彼女はなんでも知っていた。

逆上がり、虫の名前、隠れんぼのコツ、鬼からの逃げ方
世界の食べ物、車の仕組み、星座の名前、簡単な身の守り方

楽しかった。幸せだった。
咲哉と一緒にずっと遊びたいと思った。

でも、咲哉は突然消えてしまった。

思い返せばその日が来るまで
『またな』と言って別れていたのに
最後の日は『さよなら』だった。

「あぁ…咲哉に逢いたい」
思いがそのまま言葉になった。
諸伏景光という幼馴染を失った今、僕の中は真っ白だ。
ただ、誰もいないその白の世界で彼女だけが僕に優しい微笑みをくれている。
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