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とある組織の黒い魔女 【名探偵コナン】

第7章   魔女と紳士



本能とは
そのものが本来備えている性質・能力。多く、生物が生まれつきもっている衝動的、感覚的なものをいう。



溺れる人間のように酸素を欲した。
目を開ける気力され奪われた。
私は溺れ続けている。



その状態のまま男の欲が私を貫いて言いようのない苦しさに襲われた。
ジンの長い髪が私の顔にかかる。
近く顔。
冷たい瞳。


「お前は俺の物だ。誰にも渡せねぇ」


この男も嫌いじゃない。
しかし、黒に染まり過ぎている。
私はジンを哀れんだ。


『それならっ…はぁっもっと…っやあぁっ!』


自分の所有物は通常大切に扱うものではないのか?と言ってやりたい。
愛用の車も銃も無下に扱わないのと同じだ。
しかし
こんなふうにしか物を扱えない人間には不思議と情が湧く。
まるで、私が自身の血を流すことに躊躇いがない事と何の変わりもないからだ。
私は自分自身を無下に扱っている。
可笑しくて笑えてしまう。



「アイリッシュ…」


『ジ…ン…』

見上げた先にあったのは
どこか苦しそうな男の顔。


達する前の表情なのか
それとも
酷く犯している罪悪感からの表情なのか


もし、後者なら
ジンもひとりの人間として
私よりは真っ当だと思う。



『本当に哀れな男だ』


言葉になったのか声になったのかすら分からない。
私の意識はそこで消えた。



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