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とある組織の黒い魔女 【名探偵コナン】

第7章   魔女と紳士




何が欲しい?
子供の頃からよく聞く台詞。

しかし、分かっているはずだ。
分かっているからこそ確信が欲しい
だから
人は聞くのだ。
欲しい物なんて決まっている。






『……っ』

身体が怠い。
やはり酷く抱かれたようだ。
痕こそ残っていないものの痛みを感じたであろう余韻は残っている。
確か、ソファーでその行為は行われたはずなのに
私の体はクィーンサイズのベッドの上だ。

恐らく、ジンが運んでくれたのだろう。


「お早い目覚めだなお姫様」



暗闇の中
オレンジの火種が見える方に目をやる。

ジンは煙草を吹かしながらこちらを見つめていた。


『せっかくのドレスが台無しだ』


怠い体を起こし破れてただの布と成り果てたドレスをジンへ投げた。
だが、真ん中程でポトリと床に落ちる。



『やるならもっと丁重に扱って欲しいものだ』


「不死の魔女がよく言うぜ」



この男、本当に敵に回したくない。
ところどころ私の痛むことをサラリと言ってのけるから厄介だ。
不老不死なりたくてなったのではないことを
こいつも知っているはずなのに


『気は済んだか?』


「冗談じゃねぇ、このまま監禁してやりたいくらいだ」


『ふん、やれるものならやってみろ』


怠い体を起こし、クラッチバックを片手にバスルームへ向かう。
体を洗うのは自宅でもできる。
今は面倒だ。
このホテルを出れるだけの最小限の身支度で良い。


洗面台で顔を整え
クラッチバックに小さく折りたたんで入れておいた黒いワンピースを着た。


「アイリッシュ、裏切り者は俺の前に引きずり出せ。俺の手で消してやる」

何も言わず部屋を出ようとすると奥からジンの声が聞こえた。
仕事熱心なヤツだ。



『あぁ、分かっている』



この後、私は

初めてジンを裏切った。

裏切り者は私だ。



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未来予想
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