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とある組織の黒い魔女 【名探偵コナン】

第5章   魔女と酒




太陽は嫌いだ


全てを照らし出すから








カーテンの隙間から朝日が差し込む部屋
いつも暗い場所でしか生きていない私にとって
憂鬱な朝が来た。

目を覚ますと隣には整った顔の男
赤井秀一が眠っている。
人間、誰しも眠っているときは無防備だ。

穏やかな寝息
一瞬、自分の顔が緩むのが分かる。


私はベッドから一人立ち上がると
そのまま、浴室へと向かった。


少し暑めのシャワーを浴び
昨夜の出来事を思い出す・・・


『・・・・ふふっ』


【私のことわ忘れるな】なんて
よく言ったものだ。
一人の人間に深入りはしないと決めていたのに





どうせみんな、私より先に死ぬんだ。
残されるのはいつだって私。



死に方さえ分かれば
もう二度と別れを味わうことはない。


あぁ、死に方さえ分かれば・・・



「起きていたのか?」


扉の向こうから赤井の声がした。
ハッと我に返る。



『すまない、起こしたか?』


私はシャワーを止め扉を開けた。
そこには、部屋着なのであろうラフな格好をした赤井が立っていた。


「いいや。アイリッシュタオルだ」


そう言ってフカフカのバスタオルを投げてくる。
本当に気の利く男だ。
こちらが欲する前に、意図していることに気付き
欲しているものを私へ与えてくれる。


『お前と居ると楽で良い』



「部屋の中をそのまま歩かれると困るからな」




それだけ言い残すと赤井はくるりと背を向けた。
驕ることのない優しさを感じる。

目の前をゆっくりと遠ざかる背中。
その背中には、どれだけの物が背負われているのだろう。
家族・恋人・友人・FBIこんなもんじゃないだろうな




自分のためだけに生きている私とは雲泥の差だ。



私は体を拭きあげタオルを巻くとその背中を追った。







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魔女と酒     ④背中
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