第2章 SS
◆ヴェイン(白竜騎士団時代)ヴァレンタインネタ
懐に忍ばせたチョコレイト、そして向かうはヴェインの部屋。別に他意はない。いつも旨い飯を食べさせてもらってることに対しての礼だ。一つもチョコを貰えないと彼が嘆くのなら、少しばかし気を遣ってやるのもやぶさかではない。
留守中である事を確認し、扉を開ける。ランスロットとは対照的に端然と片付けられた机に、簡素な包みを一つ置いておいた。鈍いアイツの事だ、きっと送り主などわかるまい。
その時の私はヴェインを侮っていた。そう、ヴェインの壊滅的な勘の鈍さを。
「あ、そうそう!ランちゃんのチョコが間違って俺のとこに届いてたぜ!」
三人揃っての夕食後、そう言ってヴェインがランスロットに差し出した包みを見て、私は危うく飲み掛けた水を吹き出すところだった。……そして私は心に決めた。二度とチョコなど渡すものか。