第2章 SS
◆ランスロット
一言で表せば泰然自若。何事も涼しい顔で卒無くこなし、他人を慮る余裕を備えていた。唯一の例外は散らかり放題の私室を幼馴染みに詰問されてる時。その時だけは決まって困った様に頬を掻きながら苦笑いを浮かべる。ランスロットとはそういう男だと思っていた。
新兵を庇って怪我を負った私が意識を取り戻したとき、目の前に居たのは弱り果てた顔でふにゃふにゃと安堵する彼の姿だった。「よかった、本当によかった」と薄っすらと涙を浮かべて。私はそんな彼に目を奪われた。いや、もしかしたらその時奪われたのは目ではなかったのかもしれない。