第3章 未熟乙女【土方(武州)】
「はあっ、はぁ……っ!」
走って 走って
辿り着いたのは夏にスイカ割りした河原
抵抗もせず 川に着流しのまま浸かる
「頭、冷やさないと……」
先程の映像が蘇る
土方の返事はわからないが きっとOKだろう
こんなガサツで、乳臭くて、うるさい女より
品のある、優しい彼女を選んで当然だ
「うぅ……っ、」
早めに行動しなかった自分の愚かさがまた胸に刺さる
オレンジ色した空がだんだん暗くなる
水も冷える
このまま、いなくなってしまいたい
今まで恋が辛いなんて感情知らなかった
だったら、もういらない
でも、捨て方がわからない
捨てれないよ
ぽろぽろと涙が溢れてくる
水面に映る自分の顔が滑稽であった
「ブサイクだなぁ……」
枯れた笑いをしてもマシになると思ったが、
酷くなるだけだった
ゲシッ
「わっ!?」
突然後ろから誰かに背中を蹴られた
バランスを崩し、溺れそうになった
すぐに体勢を整える
「な、 なにするのよ!!!」
額に血管を浮かし すぐにでも殴り掛かりそうだ
怒りがふつふつと滾る