第2章 君にだけ 【トッシー】
トッシー「うん、大丈夫。それよりも大事なことがあるから」
「大事なこと……?」
正座していた足が崩れ 背中は床へつく
トッシーの顔と天井がみえる
「と、ととトッシー……!?」
トッシーに押し倒されている
状況がイマイチ把握できない
今の、私の表情はどうなっているのだろうか
きっと 情けない顔だろう
トッシー「好きだよ……」
極度のビビりの彼が言えるはずのないセリフを言う
彼は赤面をして
慣れない手つきで髪を撫でる
トッシー「氏は、やっぱり十四郎のことが好き?
僕は、十四郎としてしか見れない?」
くるくると毛先を指に絡める
心配だったことが分かる
上目遣いで 不安そうに答えを待つ
「ううん、 トッシーはトッシーだよ。
土方さんも、トッシーも好き……で、す」
言葉の最後で恥ずかしすぎて目を逸らしてしまった
トッシー「可愛いでござるゥゥ!! 今のはキュン死でござる……」
普段の口調に戻る
トッシー「よかった、嬉しい……
実は今日だけ十四郎にお願いして体を貸してもらっているんだ」
安堵すると髪を触っていた手が唇へ移動する
トッシー「最後の願い、聞いてくれるかな?」
目を細めて 妖艶に微笑む
また知らない彼を発見し
嬉しさと共に胸が高鳴る
私は黙って頷いた。