第3章 6つの笑顔
みんな私をじっと見てる。
…むっくんは、ぱくぱくとお菓子食べてるけど。
赤「…本気で、好きなのか?」
「…友達として?」
なんでそんな真面目な顔してるの?
目の前の征ちゃんがため息をつく。
青「ったく。(本気にしちまったぜ。)」
黄「(弥生っち、なんか可愛いッス!)」
むっくんとはお友達なのだ!
…真ちゃんが練習を再開させて、また始まった。
桃「びっくりしたぁ。」
「さっちゃんまで…。」
そうして、部活が終わった。
テツくんに話しかけてみようかな。
黒「…弥生さん、いいですか?」
「…何?練習なら付き合うけど。」
テツくんは首を横に振った。
その目は、何か言いたげで…。なんだろう?
どんどんみんな帰っていく。
黒「あの。…話、聞いてもらえますか。」
「うん!みんないないし、いいよ。」
ボールをつきながら話しだす。
言いづらそうだったけど、目は真剣で。
黒「僕…、足手まといじゃありませんか?」
「…えっ?そんなことないよ。みんなだって…。」
黒「今は確かに6人目としてやっています。けど…」
つくのを止めて、私を見つめる。
悲しい瞳。色を宿さないような、悲しい瞳。
そうか。いつかみんな…。
「それぞれの才能が開花した時が、心配?」
黒「はい。青峰くんも、黄瀬くんだって…。」
頼られなくなっていく。自分を信じすぎて。
大ちゃんはもう最強のスコアラー。
その影としての役割も、薄れてくんだ。
黒「…きっと足手まといになってしまう。バスケ部を辞めたいんです…。」
「…!それは、本当にテツくんの本心?」
テツくんの瞳が揺らぐ。
確かに、テツくんの言うとおりかもしれない。
でも…違う事だってあるんだよ?
「私は…テツくんが好きだよ?」
黒「え………?」
「テツくんのバスケも、大好きだよ。」
諦めないテツくんが大好き。
テツくんがバスケ辞めるなんて、やだ。
黒「でも、僕は…!」
「自分で決めつけちゃ、ダメだよ?
テツくんは足手まといなんかじゃ、ないよ?」
テツくんに…この想いが届いたら。
今が、約束を守る時。