第3章 6つの笑顔
授業中も休み時間もじめじめしてる涼ちゃん。
ホント、近寄れないなぁ。
『これがずっと続くのは嫌でしょ?』
それはそうなんだけどさぁ…。
部活前って、もう今しかないじゃない!!
「涼ちゃん、ちょっと来て!!」
黄「え…弥生っち?」
涼ちゃんの腕を引っ張るだけで一苦労。
手足も長いし…。…うわ、女子の敵。
私は涼ちゃんを屋上に連れ込んだ。
「いつまでもじめじめしないでよ!!怖いから!」
黄「…けっこう傷ついたんスよ?…」
「それは、ごめん。」
ため息をついて、空を見上げている。
私ってそんなに酷い事したの?
黄「好きな子からあんな風に言われたら…。」
「本当に私の事、好きなの…?」
黄「当たり前ッスよ!!!」
ガシャンと音をたてるフェンス。
フェンスと涼ちゃんに挟まれている、私。
恥ずかしくて、まともに見れないよ…。
黄「大好き……だから。」
「っ////」
そのまま、涼ちゃんの腕は私を包んでいた。
いつもとどこか違う…。
優しく、どこまでも優しく包み込む。
「私……その!!」
黄「ダメッスよ。部活始まるまで、このままッス。」
涼ちゃんの鼓動が伝わってくる。
私の鼓動の方が、ちょっと速い気がする。
こんなに…男の子だったんだ。
黄「……ドキドキが止まらないッス。弥生っちのせいッスよ?」
「わ、私の方が……!!!」
私の鼓動と涼ちゃんの鼓動が、静かな屋上に響くようだった。