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[R-18]娼婦の唄【轟 焦凍】【爆豪 勝己】

第4章 感謝を















俺と冷が出会ったのは、知っているだろうが遊郭だ。
俺が少尉になってすぐ……中尉に誘われ、遊郭に遊びに行った。
乗り気では無かったが、上官に誘われたのだ、断れるわけもない。惰性で遊郭に連れて行かれると、俺は見世の中にいた女に目を奪われた。

雪のように 白く美しい髪。
対する瞳は艶やかな黒。

目が合うと、女はそっと儚げに口元に笑みを浮かべた。
「アイツぁダメだ。呪われてるし、そろそろ見世も端の方に変えられるらしい。客なんて滅多につかねえのに、気に入らねえとぶん殴っちまうらしい」
見た目の割に、随分と血の気の多い話と感じる。しかしそんな女に俺は興味を持った。





三三九度の真似事をし、宴会が開かれる。
その女は局女郎という最下級の遊女で、その宴会も盛大とは程遠く慎ましかなものだった。
一言も口を開かず、酒にすら手をつけない女。
それが遊郭のしきたりらしいが、それを知らん俺は女に声をかけた。
「随分無愛想な女だ。挨拶一つもないのか」
その言葉に、女は目を見開く。
すると上官は慌てた様子で、俺に耳打ちをした。
「バカっ、初会の遊女は口も聞かねえし、食いモンも手をつけねえ!」
それは、なんて馬鹿げた話だと思った。
「ならなんで宴席を開く必要がある。食え、女」
今思えば、追い返されても仕方ないほどの無礼だったとわかる。
外には外のしきたりというものがあり、内には内の仕来りというものがあるのだ。
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