第4章 感謝を
この家で半年も働いていて気付かない訳がないのです。
奥様の部屋と、焦凍坊ちゃんの部屋が全く逆の位置に配置されていることに。
「………使用人から聞いたの?」
「いえ、けれども余りにも不自然すぎます。家族というのにこの部屋の遠さ。まるでわざと会わないようにしているみたいと思いました。そして今回の呼び出し。奥様は坊ちゃんの様子が、気になっているんですよね」
それに、偶にしか帰ってこない家主。
気付かなければ遊女としても、使用人としても失格です。
「………焦凍は、元気?」
「はい、とても。ご飯も三食、しっかりと食べています。運ぶ私の腕が筋肉痛になるくらい」
すると奥様は
酷く安心したように、その顔に笑みを浮かべたのです。
お二人の間に、何があったのかはわかりません。
けれど、奥様が焦凍坊ちゃんを想うその姿に私は