第10章 まほうつかいとしろいねこ
座るときに少し音を立ててしまったがやはり起きる気配がない。
ボクは何故か不安に駆られて少し顔を近づける。
すると、微かにだが「すぅ、すぅ」と小さく寝息が聞こえてきた。
それを聞いてホッと胸を撫で下ろす。
それから穏やかな時間が過ぎていく。
子猫と母猫も今では少女と一緒に寝ている。
なんとなく、やることもなくて少女の頭を撫でてみる。
男子とは違った柔らかい白髪の毛。ちゃんと手入れされているのかさらさらと指の間を通っていく。
「んっ…」
暫く撫でていると流石に気づかれたのか少し身動ぎする少女。ボクは慌てて手を放す。だが少し遅かったらしく、少女は上半身を起き上がらせた。
「………………」
だがボッーとボクの方を見ながら小さく首を傾げる。多分、まだ寝ぼけているのだろう。
「えっト…」
何か話そうと口を開いた瞬間、目の前に薔薇が舞った。突然の事で少し吃驚するが犯人が誰かわかるので少しため息をついてしまった。
「師匠…何時も薔薇をその辺に散らさないでっていつも言ってるでショ?」