第2章 バレンタイン小説(跡部・彼女目線)
2月14日早朝
『跡部君にはお世話になってばかりだし、お礼って事なら私がチョコあげても変に思われないよね?そして、そこに少しだけ私の気持ちを込めるくらいは許されるよね』
跡部君に渡すチョコを何にするか悩みに悩んだ結果、手作りすることにした。だって何を買っても跡部君は食べたことありそうだし、それに沢山チョコを貰うだろうから誰かと同じチョコになってしまうかもしれない。どうせ渡すなら私だけのチョコにしたい。
跡部君をイメージしてホワイトチョコにブルーベリー果汁を入れてほんのり青く色づけ、そこに薔薇のオイルを数滴たらして香り付け。青だけだと淋しいからストロベリーのピンクとホワイトチョコのままの白の3色作って可愛くラッピング。
ちょっと多めに気持ちを込めちゃったけどいいよね。だって初めて跡部君に贈るチョコだもん、気合い入っちゃうのは仕方ないよね。
完成したチョコを持って私は学校に急いだ。跡部君の机にチョコを入れてる所を見られたら雌猫ちゃん達が大騒ぎするに決まっている。生徒会の用事で何回か跡部君の教室に行った事があるから、クラスは違うけど跡部君の机の場所は知っている。周りに誰もいないのを確認して跡部君の机にそっとチョコを入れて、足早に教室を立ち去る。そしてそのまま朝練中の跡部君を見にテニスコートに向かった。
『跡部君、チョコ受け取ってくれたかなぁ』
本人に受け取ったか聞くわけにもいかずモヤモヤしながら放課後を迎えた。テニスコートに行こうと帰り支度をしていると校内放送が鳴り響いた。
「生徒会会計、香住長野。至急生徒会室に来い!繰り返す。生徒会会計、香住長野。至急生徒会室に来い!」
『跡部君の声だ。会長直々の呼び出しなんて、私何か失敗したのかなぁ』