第11章 天体観測(BL)
跡部「いっかくじゅう座はオリオン座の側にあるから、だいたいの位置は見つけやすい。たが4等星以下の星ばかりの星座だから星座の形をなぞっていくのが難しい」
手塚「なるほどな。ではあの辺りがいっかくじゅう座か」
手塚は星座早見表を片手に夜空を見上げる。
跡部「ちゃんと形をなぞるのは望遠鏡でも難しいぜ。国光も見て見るか?」
手塚「あぁ」
跡部に替わり手塚が望遠鏡を覗く。
手塚「確かに難しいな。ペガサスの名がついているだけあって、完全な状態を見つけるのは奇跡に近いと言うわけか」
跡部「かもしれねーな」
手塚「景吾が見たがっていたバラ星雲はどこだ?」
手塚が望遠鏡から離れ、跡部と入れ替わる。
跡部「ちょっと待ってな…」
手塚「少し体が冷えてきたな。温かい飲み物をいれてくる」
跡部「気が利くじゃねーの」
手塚はキャンピングカーに戻り跡部のお気に入りのローズティーをいれた。
『いつものマグカップも用意してあるとは、さすが景吾だな』
マグカップを2つ持って手塚が戻って来た。
手塚「少し休憩にしよう。ローズティーをいれてきた」
手塚は青いマグカップを跡部に渡した。
跡部「いつもの味だ。国光がいれるローズティーは最高だぜ」
手塚「景吾に教え込まれたからな」
跡部「見つかったぜ。バラ星雲」
手塚「本当か?ならこれが飲み終わったら俺にも見せて欲しい」
跡部「もちろんだ」
2人はローズティーをゆっくりと楽しんだ。
跡部「覗いてみな。バラ星雲にあわせてある」
跡部に言われて手塚が望遠鏡を覗き込む。
手塚「あのボヤーっと明るいのがそうか?」
跡部「あぁ、それがバラ星雲だ」
手塚「全然、バラには見えないんだが…」
跡部「望遠鏡で見ててもわかんねぇよ。だからカメラも持ってきたんだ」
跡部はカメラを望遠鏡に取り付け、撮影の準備をする。
手塚「カメラ?」
跡部「カメラで長時間撮影をしたらバラに見えるらしいぜ」
手塚「なるほどな」
跡部「少し時間がかかるから車で待つぞ。ここで待ってたら凍えちまうだろ?」
手塚「今日は一段と寒いからな」
跡部と手塚はキャンピングカーに戻った。