第11章 天体観測(BL)
手塚が部活を終えて校門に向かうと、見慣れた黒塗りの車が停まっていた。
手塚が車の前を通り過ぎようとすると後部座席の扉が開いた。
跡部「国光、迎えに来ぜ」
手塚「学校にハイヤーで来るなと前にも言ったはずだが…。それと人前で名前呼びは止めてくれないか跡部」
不機嫌そうに答える手塚。
跡部「それが部活終わりに急いで迎えに駆け付けた恋人に対する態度かよ。みんな俺達が付き合ってるのを知ってんだから、気にすんなよ」
手塚「迎えなど頼んだ覚えはない。人前でいちゃつくなんて恥ずかしい真似は出来ない」
跡部「じゃあ、人前じゃなきゃいいんだな。乗れよ。せっかく迎えに来たんだぜ」
素直にハイヤーに乗り込み跡部の隣に座る手塚。
跡部「週末空いてるか?」
手塚「特に予定は無い」
跡部「泊まりでデートしようぜ。お前と一緒に見たい星があるんだ」
跡部は手塚の肩に腕を回す。
手塚「冬は空気が澄んでるから星が綺麗に見えるからな。で、どんな星なんだ?」
手塚は甘えるように跡部に寄り掛かる。
跡部「いっかくじゅう座だ」
手塚「一角獣。ユニコーンだな。そんな星座があるなんて知らなかった」
跡部「俺も最近知ったんだ。ユニコーンと言えば大いなる幸せをもたらす動物。俺にとっての国光みたいな存在だから興味が湧いた」
跡部の言葉に頬を赤らめる手塚。
跡部「調べてみたら、いっかくじゅう座の角のあたりにバラ星雲と言うのがあるらしい。国光の中にいる俺。見たいと思わねぇか?」
手塚「俺の中にいる景吾…。一心同体。見てみたい。景吾と見れたらもっと幸せになれる気がする…」
手塚は目を閉じて頭を跡部の肩に乗せた。
跡部「そんな顔して、そんな可愛いこと言うなんて反則だろ」
跡部は手塚の顎に手を当て、顔の角度を調節し唇を重ねた。