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eternity―永遠―

第4章 バレンタイン小説(手塚・手塚目線)


俺の言葉や態度がいつもより威圧的に感じたのか、彼女の表情が暗くなる。
そして聞き取れないくらい小さな声「チョコ…」と呟いた。
それを聞いて俺は今朝机に入っていたチョコは彼女がくれたものなんだと感じた。
「チョコ?あぁ、今朝机に入っていたこれのことか」しかし、まだ彼女からのものと確信が持てなかった俺は表情を変えずに鞄からチョコを出した。

「それ入れたの私なんだ」彼女は俯きながら呟く。
「香住がこれを?すまない、まだ中身を見ていなかった。開けてもいいだろうか?」彼女が俺にチョコをくれたのが嬉しくて、すぐにでも中身を確認したかったから開けてもいいか彼女に聞いた。

彼女が頷いたのを確認し、丁寧に包を開けると部室にチョコの香りが広がった。

「手作りのようだが香住が作ったのか?」テニスラケットの形、ボールの形、眼鏡の形のチョコが入っていて、すぐに手作りだとわかった。

『手作りと言うことは本命と言うことだろうか…。香住が俺を…。だとしたら今ここで食べたい!』

「今ここで食べてもいいだろうか?」作り手が目の前にいるのに勝手に食べるわけにはいかないので彼女に問いかけると、彼女は小さな声で「どうぞ」と答えた。
彼女の了承を得たので俺はチョコを1つ口に運んだ。
「美味いな」チョコは甘過ぎず普段甘いものを食べない俺でも食べやすかった。あまりの美味しさに次々にチョコに手を伸ばし、気がつけば完食していた。
チョコを食べ終わった俺は彼女が俺を見ていた事に気がついた。俺を見る彼女の顔があまりに可愛くて、今なら素直に感謝の気持ちを言える気がした。

「美味しかった。早起きして作ってくれたんだろ?ありがとう。香住はいつでも一生懸命だな。部活も委員会も」いつも一生懸命な彼女を俺はずっと見ていた。
「え?」彼女は驚いたような顔をしたが、俺は構わず言葉を続けた。

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