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eternity―永遠―

第4章 バレンタイン小説(手塚・手塚目線)


2月14日。バレンタインデー当日。

この日を意識しない男はいないと思う。部員の前ではそんなに意識していないように振る舞っていたが、実は朝からソワソワしている。
朝練が終わり教室に入るといつも通り大半の生徒が席に着いている。部長の俺は朝練が終わってもやる事があり教室に入るのはいつも始業のチャイムが鳴る少し前になってしまう。
席に着き1限目の授業の準備をする為に教科書を出そうと机の中に手を入れた瞬間、教科書では無い物が手に当たり俺は机の中を覗き込んだ。

『こ、これは…もしや…』

俺は喜んでいるのを周りに悟られないように平静を装って机の中にあった包を鞄に入れた。

本当はすぐにでも中身を確認し、誰からなのか、本命か義理なのかを確認したかったが、他の生徒もいる前でそんな事が出来るはずがない。
俺はソワソワした気持ちを押し殺しながら、授業と部活を終えた。

本当はすぐにでも帰ってチョコを確認したかったが校内ランキング戦の対戦表を竜崎先生に提出する期限が迫っていた為、帰りたい気持ちを抑えて1人部室でランキング戦の組み合わせを考えていた。

コン、コン。
突然、部室のドアがノックされた。

『こんな時間に誰だろう?生徒のほとんどは帰宅したはずだ。部員に用事があったのだろうか…』

「はい。どなたに用事でしょうか?今は部長の私しかいませんが」部室には俺しかいないことを伝えながら部室のドアを開けた。
ドアの前に立っていたのは香住だった。

「香住か、どうした?とりあえず中に入れ」ドアの前で立ち尽くしている彼女を中に招き入れた。
「男子テニス部にくるなんて珍しいな。何か用事か?」予想外の人物の訪問に多少驚いたが、委員会の事で急な用事でも出来たんだろうと訪問理由を訪ねた。

しかし、彼女は黙ったままで何も話さない。
「急ぎの用があるからわざわざ男子の部室まできたんじゃないのか?」対戦表を早く完成させたい気持ちと、早く家に帰りたい気持ちが合わさり、何も話さない彼女に少し苛立ちを覚えた。


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