第3章 ライバル(手塚&跡部)
キャンプ場に着くまでの数分間が跡部には何時間にも感じられた。
キャンプ場に着くと跡部はすぐにドクターヘリを手配した。
跡部は力無くぐったりと横たわっている手塚の胸に耳を当て、鼓動を確認すると口元に手をかざして呼吸を確認した。
『弱々しいながらも、ちゃんと動いてやがる。よかった……。見た感じ大きなケガもなさそうだな』
跡部が手塚の様子を一通り確認し終わった頃、ドクターヘリが到着した。
「ここから一番近い跡部財閥グループの病院へ頼む!意識はないが、目立った外傷もない。弱々しいながも鼓動も呼吸も大きな乱れはない。俺はやらなきゃいけねぇことがあるから付き添えねぇ。手塚は俺の大切なライバルなんだ。だから絶対に助けてくれ!頼む!」跡部は救急隊に頭を下げる。救急隊は少し恐縮しながらも迅速に対応し手塚を乗せて飛び立った。
跡部は乗ってきたヘリに乗り込むと少年のもとへ行った。
「そいつを助けたお兄ちゃんは大丈夫だった。今、病院に運んだから心配いらねぇ。だからもう泣くんじゃねぇ!男だろ!家族が心配してるだろうから早く戻ってやれ」跡部が少年の頭を撫でると少年は笑顔で頷いて帰っていった。
置きっぱなしになっていた手塚の荷物を纏めると跡部はヘリで病院に向かった。