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【黒子のバスケ】短編集

第13章 Re:Start【緑間真太郎】


「明日から救命かー」

初期研修を終え、つばきの脳外科での勤務が3年を過ぎたころ、救命センターでの人員不足に人を出すよう各科に要請がきて、前回は循環器と外科から人を出したから、今回は脳外から出せと言われ、勉強にもなるからとつばきが脳外から出されることになった。

高度救命救急センターを併設するつばきの病院は常に医師不足。特に救命救急はハードで新人つぶし科なんて名前まで付けられてるらしかった。

救命救急センターのシフトで勤務し、急患のいない時間帯は脳外の通常勤務をこなすという、殺人的な忙しさを容易に想像させる勤務形態だった。


「不安か?」

「経験積めるのは歓迎してる。でも脳外科医としては遅れをとりそうな気もしてる」

「頭部外傷の高度救命を学べるいい機会でもあるのだよ」

救命救急での仕事は、とにかく迅速な判断と処置が求められる。
それは頭部外傷患者には比較的多くのケースで当てはまる事だった。

「そだね。ちょっと楽しみかな。でも家に戻れるの減っちゃいそう」

少し寂しそうに俺を見るつばきと目が合って、2か月前に救命の勤務になる可能性を聞いていた時に決めた覚悟をつばきに伝えるため、用意していたものを自分のカバンから取り出した。


「つばき…俺と、結婚してほしい」

「えっ…⁉え…なんでいきなり⁉」

驚いて目をまんまるにして、何度も瞬きをするその目は涙で少し潤んでいた。

「タメ…だったか?」

「えっ……ちがっ!そうじゃなくって…びっくりして…」

「俺は、この先、つばきと一緒にいたいと思っている」


これまで結婚の事を話題にすることがなかったせいもあってか、つばきは本当に驚いていて、だけど俺のプロポーズを泣きながら、笑顔で受けてくれた。



だから、俺は

この先二人での人生が続いていくんだと

何の疑いも持っていなかった

疑う余地など一片たりともなかった







俺がつばきの救命勤務を反対していたら、つばきを失うことなどなかった。






つばきを失ったのは、俺の自業自得なのかもしれないな
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