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【黒子のバスケ】短編集

第14章 Pledge【青峰大輝】


「今が旬の地物のイチジクと桃、マダガスカル産バニラを使用した自家製アイスの盛り合わせでございます」

別腹とはよく言ったもので、仲居さんが食事の後に出してくれた綺麗に盛り付けられたフルーツと添えられたバニラアイスは、お雑炊が食べられなかったことなんて忘れたかのように手が伸びた。

桃は果汁がたっぷりで、アイスやイチジクのように甘みの強い物と食べても甘みを感じられるほど糖度が高くて、柔らかく崩れる食感に感動した。

「こっちのも食うか?」

「すごくおいしいのに、食べないんですか?」

「桃好きだろ。俺は1個でいい」

大きめ1口のダイスにカットされた桃を1つだけ食べて、青峰さんは残りの桃を全部くれた。

青峰さんはお昼近くに研究室に来る時は、お昼を食べたかいつも聞いてくれて、食べてないと答えるとお昼を買ってきてくれる。
そして、私がおいしいって言うと次に来る時も持ってきてくれたりする。


この人とご飯を食べるのがあたしは好き。

検案書を読みながらの時
検査技師の検査待ちをしてる時
なんとなく一緒に食べることになった時

どんな時に一緒に食べても、それぞれ違うものを食べてると必ず分けて食べるようになって、あたしが美味しいって言うとそれを多く分けてくれようとする。


もちろん青峰さんほどは食べられないから、お腹いっぱいって言うと全部食べてくれるけど、好きなものをたくさん食べさせようとしてくれる優しさが嬉しい。


仲居さんが食事の後片付けをして、食後のお茶のセットを用意してくれた。




「お茶飲みますか?」

「飲む。せんせーは?」

「飲みます」


青峰さんは、ご飯の後だけは絶対に飲むと答える。
研究室に来た時はアイスって言うけど、研究室でも食後のお茶はいつも断らない。

用意されていた急須で淹れて、氷を入れて用意した。
青峰さんは猫舌なのか分からないけど、熱い飲み物が苦手だって言っていつも氷を入れるから、今日は氷も入れてから渡すとお礼を言って受け取ってくれた。

とけきらない氷がカランと音を立てて、青峰さんの喉仏が上下するのを見ていると、なんだか不思議な気持ちになる。




ハッキリとした理由は分からないけど、この人とここに来られてよかったって心から思う。


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